弁理士が独立開業するメリットと注意点

【弁理士が独立開業する場合のメリット】

◎収入アップの可能性

組織に属していても、弁理士は基本的に成果主義の傾向がありますが、独立するとさらに各人の実力がそのまま収入に反映します。とはいえ、独立直後はクライアントの獲得が最大の難所。初めから多くの収入は見込めませんが、自分の営業力を磨いて顧客を獲得していけば、独立前よりも収入を上げることが可能です。

◎時間、場所、仕事の量を自由に決められる

人によっては独立の最大のメリットともいえる「自由」。就業時間の縛りもなく、仕事の量も自分の裁量で決められるので、現在休日出勤や長時間残業に悩んでいる方や、育児・介護など自分のライフステージに合わせて働きたい方にとって独立は大変魅力的です。

また、特許事務所に勤務する場合、大半は東京・大阪・名古屋といった大都市圏に事務所が集中しているため勤務地が限定されます。その点、独立すれば開業する場所を自由に決められるので、Iターン・Uターンを希望している場合にもおすすめできます。

◎得意分野に注力できる

案件の分野が決まっている特許事務所が多いため、事務所に勤務しているといつも自分の得意とする分野の案件が請け負えるとは限りません。しかし独立開業してホームページや広告で自分の得意分野に絞って営業することもできます。得意な分野の案件を数多く手がけて、自分の実力をさらに高めることもできるでしょう。

【弁理士が独立開業する場合のデメリット】

▲自分で顧客を獲得しなければいけない

独立開業後は自らクライアントを開拓していく必要があります。そして独立した方のほとんどが開業後大変だった点として挙げるのも、このクライアントの獲得。「独立前に営業経験がなく、事務所で書類を書くだけだった」という方が多いので、どう営業すればいいのか分からず苦労するようです。

▲収入の保障がない

クライアントを獲得できるかによって、当然収入も変わります。一度獲得できたクライアントからの依頼が継続するという保障もありません。 また、広告宣伝費や、自宅以外で開業する場合には家賃が発生することも想定できます。

【独立開業後の弁理士の年収】

成功すれば独立後に年収1,000万以上、場合によっては2,000万円を達成できるとも言われています。しかし、実際にどのような年収を手にするかは、事務所の業務内容によっても大きく変わります。

主な業務の報酬の目安は
・特許出願　25万～30万円
・意匠出願　10万～12万円
・商標出願　6万～8万円
・審査官面接　3万～4万円

このようにどの業務を多く行うかによって、収入には大きく差が出ます。どの程度の年収が欲しいのか、どの程度の業務量を希望するのか、独立する前にしっかりとシミュレーションしましょう。

【弁理士が独立開業する際の注意点】

顧客探しの注意点

独立して安定した年収を得るため、大企業との提携を目指す方もいます。しかし、大企業であればすでに提携先の事務所が存在するケースがほとんど。開所したばかりの事務所が提携できることは多くありません。
また、事務所の収入の多くを大企業一社に頼っていると、万が一その企業が撤退した場合や、提携が打ち切られた場合に大きな打撃となります。

そういったリスクを分散するためにも、数社の中小企業、またはベンチャー企業をクライアントに持っておくと良いでしょう。

独立前に学んでおきたいこと

中堅以上の事務所から独立する場合、意外な盲点となるのが特許庁への手続きの書き方。書類を作ることには自信があっても、事務員に任せていた手続きの書き方を学ぶ機会がないまま独立してしまい、あとで苦労する方もいるようです。
印鑑一つとっても、押す・押さない、誰の印鑑が必要か、相手側の印鑑も必要か、といった細かい様式が決まっています。不備があって焦る姿はクライアントから不信感を持たれる原因にもなります。開所前に手続きの流れを一通り押さえておきましょう。

場所選び

弁理士事務所の多くが大都市に集中していますが、東京都内では特許庁に近い場所に事務所を構えることが多いようです。オンラインで特許庁とのやり取りができるようになっているとはいえ、まだ紙で提出しなければならない書類もあり、また特許印紙も購入しなくてはなりません。そうはいっても、都心に開所するのは多額の資金が必要なので、これから独立しようとしている場合にはハードルが高く感じられます。

では、場所代を抑えながら、クライアントを集められる場所はどこなのでしょうか？その場合おすすめなのは、ターミナル駅や新幹線の発着駅、そして空港からのアクセスが良い場所。クライアントが来所しやすく、将来的に事務所の規模が大きくなって所員を雇う場合に応募してもらいやすく、その後の通勤にも便利です。

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