知財とは、知的財産を省略した言葉です。
このポジションに興味を持っている人も多いのではないでしょうか?
専門性が高く、知識を身に付けるには努力が必要ですし、経験を積むには時間がかかります。
知財に進むべきかどうか考えている方に、このポジションの将来について解説していきます。
知財の将来性
知財分野の仕事は、将来的に需要が高まると予想されています。
技術の進歩やグローバル化が急速に進んでいることにより、特許や商標などの争いが激化していることが理由です。
海外進出する日本企業が増え、知財分野の仕事も国内に留まらなくなってきています。
海外での自社の権利を守るため、特許や商標の海外出願も非常に多い状況です。
逆に、海外企業が日本で特許申請するケースも増えています。
今後もインターネットやメタバース等で活動する企業が増えることも予想され、知財分野の仕事のグローバル化は進み、知財の需要も高まっていくでしょう
ただし、知財分野の仕事の将来性を不安視する声も聞かれます。
知財が不安視されている理由は主に2つ。
知財分野で活躍する弁理士の高年齢化、AIの進歩による知財分野への進出です。
弁理士は高齢化が進み、弁理士の人数自体も減少傾向にあります。
年齢による引退や、弁理士試験受験者の減少が原因です。
また知財の仕事はAIに奪われやすいと言われています。
確かに一般的な事務処理については、AIに任せやすい仕事も多いかもしれません。
ただ、明細書作成については技術的な知識が必要な上に、文章力やコミュニケーション能力も大切です。
すぐに弁理士の仕事を全てAIに任せるというのは難しいでしょう。
若手が少ない
現状の知財は若手が少ない状況です。
知財で活躍できる資格と言えば弁理士が挙げられます。
その弁理士試験の受験者数は平成20年頃から減少が続き、令和3年度は受験者数が3,248人となっています。
合格率はほぼ横ばいなので、受験者数が減少している分だけ、合格者も減少しています。
新しく弁理士になる人が少ないことが、知財に関わる若手が少ない理由です。
また、定年を迎えて引退する弁理士もいるため、弁理士自体の数も減少傾向。
このことから、職種自体の将来を危惧する声につながっているようです。
知財の将来を考えた時にAIが与える影響
知財の将来にはAIが影響を及ぼすと考えられます。
AI技術は凄まじい勢いで進歩しており、囲碁や将棋の世界では、もはやプロでもAIに太刀打ちできません。
すでにAIはビジネスでもさまざまな分野で活用されるようになりました。
製造業ではカメラAIでの検品作業が行われ、物流業界では配送ルートの決定をAIが行う事例もあります。
また自動車産業ではAIによる自動運転の技術が向上し、一定条件下において全ての運転をAIが行う車が、すでに販売されています。
他にも人事や営業、窓口業務や問い合わせ業務など、AIの活躍する分野はさまざまです。
AIのビジネスへの導入はさらに進むと考えられます。
知財分野も例外ではなく、2015年にはオックスフォード大学と野村総合研究所によって、弁理士の仕事はAIによる代替性が90%以上あるという共同研究発表が行われています。
今の仕事の約9割はAIで補うことができる
商標出願や特許翻訳、文献調査といった業務は、AIに取って代わられる可能性は大いにあるでしょう。
また、他の単純な作業もAIの最も得意とするところです。
データベースが構築されれば、簡単なコンサルタント業務もAIが行うことになるかもしれません。
しかし、知財の分野は明細書作成のように、AIには任せられない業務もあります。
ですから、完全にAIに仕事を奪われるようなことはないでしょう。
それでも部分的にはAIに仕事を取られる可能性があるわけで、知財として将来も活躍を続けるためには、逆にAIを使いこなすことで業務を効率化したり、自らのスキルアップを図る必要があります。
知財の分野で将来活躍するために求められるスキル
知財分野へのAI進出が進めば、知財として将来的にも活躍するには、スキルアップが必要不可欠です。
知財の分野で将来活躍するためには、
- 特定の分野で専門性を磨く
- 世界を相手にできる語学力をつける
- AIには難しいコミュニケーション能力をつける
といったスキルが必要になるでしょう。
特定の分野で専門性を磨く
今後、知財として活躍するには、特定分野での専門性を磨くことは、とても重要になります。
知財としての知識やスキルを磨いていくことは当然ですが、特定の業界への深い知識も必要となってくるでしょう。
特定分野のスペシャリストとなれば、替えが効かない存在となります。
専門性の高いスペシャリストの知財として活躍するためにも、早いうちからスキルアップのための行動を取るようにしましょう。
世界を相手にできる語学力をつける
これからの知財は、英語を始めとした語学のスキルがあると、活躍の場が広くなることは間違いありません。
国内の特許申請は減少が続き、これからも減少していく可能性が高いと考えられます。
今後は国内特許に関する知財の仕事が、さらに減少してしまうかもしれません。
一方で世界に目を向けてみると、国際特許申請数は増加が続いています。
日本企業の国際特許申請数も、増加傾向です。
また外資系企業が日本で特許申請するケースも多くなっており、年々増加しています。
日本企業が海外で活動したり、外資系企業が日本で活動することが当たり前のようになっている現在ですが、これからもグローバル化は進んでいくと予想されます。
そのため、知財で活躍する人材にも語学力が求められるようになるのは必然と言えるでしょう。
英語を中心とした語学、国際特許申請に関する知識やスキルを習得することが、知財が将来的に活躍する鍵となりそうです。
AIには難しいコミュニケーション能力をつける
AIには難しい分野として、コミュニケーションが挙げられます。
AIにとって難しい仕事を人間が行うことを考えると、将来的にはコミュニケーション能力をつけることが重要となるでしょう。
知財分野でも、明細書の作成や、法律事務所や特許事務所のやりとりといったコミュニケーション能力が重要となる仕事が多くあります。
また、コミュニケーション能力は管理職にとっても大切な能力であり、知財のステップアップとしても必要です。
コミュニケーション能力はさまざまな分野の仕事で活かせるスキルですから、磨いておいて損はありません。
積極的にコミュニケーション能力を磨いていきましょう。
まとめ
技術の進歩や企業のグローバル化により、将来的に知財の需要は高まると予想されます。
ただし国内だけに限ると、特許申請は減少傾向です。
また、AI技術の発展によって知財分野にもAIが進出してくるでしょう。
そのため、従来どおりの働き方では、将来的に知財として生き残っていくのは難しくなるかもしれません。
将来も知財として活躍していくためには、専門性を磨く、語学力を身につける、コミュニケーション能力を身につける、といったスキルアップを図る必要があります。
グローバル化やAI化が進む社会情勢の中でも、知財として活躍できるよう、早いうちからスキルアップを図ることが望ましいでしょう。
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