「法律事務所」というと、弁護士が勤務しているというイメージを持っている人が多いでしょう。
実は弁理士や特許技術者の募集もあり、知財分野で活躍しています。
この記事では「法律事務所」について、その概要や弁護士法上の立ち位置、種類や具体的な仕事内容について説明していきます。
法律事務所とは
①法律事務所とは
法律事務所とは、法律事務の事業を行う場そのものを指します。
弁護士法上、弁護士の事務所は法律事務所(または弁護士法人)と名乗ることが定められています。1人の弁護士が支店なども含めて2つ以上の複数の法律事務所を設けることはできませんが、自分の事務所を持ちながら他の法律事務所に所属することは可能です。
②弁護士事務所とは
弁護士事務所とは、その名のとおり弁護士の事務所のことであり、1人または複数の弁護士から構成される、法律事務を生業として行うための事業体のことを指します。弁護士法の定める「弁護士法人」であれば1人の弁護士が支店など複数の事業所を持つことができます。
③法律事務所と弁護士事務所の違い
弁護士法では、弁護士事務所とは法律事務を生業とする事業体のことであり、法律事務所とは法律事務を行う場そのもののことを指す、とされています。しかし、両者に明確な違いはありません。一般に呼ばれる弁護士の事務所は、法律上は法律事務所と呼ばれます。また俗語として弁護士事務所と呼ばれることもあります。よってあくまでも法律事務所と弁護士事務所は、呼び方の違いだけであり、いずれにせよ意味するものは弁護士の事務所を指します。
法律事務所の仕事内容とは
法律事務所では、クライアントからの依頼を受け、それらに対応した法律事務を行います。
法律事務の内容は主に法律相談・民事事件 (訴訟、調停、示談交渉、契約締結、手形・小切手訴訟、離婚、土地などの境界、保全命令申立、破産・会社整理・特別清算・会社更生、民事再生、任意整理など)・刑事事件 (起訴前および起訴後、再審請求、保釈・勾留の執行停止、抗告、告訴・告発、仮釈放など)・少年事件の対応などがあげられます。
法律事務所の種類とは
①弁護士法上の分類
弁護士法により主に法律事務所は以下の4つに分類されます。
・弁護士法人
弁護士法人とは、弁護士業務を行う法人のことを指します。2002年4月に弁護士法が改正されて、弁護士法人を設立できるようになりました。弁護士法人には、社員が弁護士でなければならないこと、債務を負った場合は社員全員が連帯して返済義務を負わなければならないことなどが定められています。
・弁護士法人に属さない法律事務所
弁護士が個人または他の弁護士と共同で運営する事務所のことを指します。弁護士法人のような細かい規定は特にありませんが、弁護士一人につき1つしか事務所を持てず、支店も含めて複数の事務所を持つことは認められていません。
・外国法事務弁護士事務所
日本で活動している外国の法律事務所のことを指します。1986年に施行された、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(外弁法)により誕生したもので、この法律ができて初めて、外国の法律事務所が日本で活動することが可能になりました。
・外国法共同事業
2003年の外弁法の改正により、外国法事務弁護士と日本の弁護士が共同してリーガルサービスを提供できるようになりました。この事業のことを外国法共同事業と言いますが、別名外資系と呼ばれることもあります。
②専門による分類
法律事務所は専門性により主に以下の3つに分類されます。
・ブティック型法律事務所
ブティック型法律事務所は、特定分野の法律事務のみを専門的に取り扱う法律事務所です。
ブティック型は中堅や大手法律事務所出身の弁護士が立ち上げている事務所も多く、高度な業務に携わりながら専門性を磨くことができるチャンスも多くなっています。ブティック型法律事務所では、専門性の高い経験を積むことが可能といえます。
・総合法律事務所
総合法律事務所は、法律事務所の仕事内容の全般について、民事・刑事・企業法務など幅広く取り扱う法律事務所です。総合法律事務所に就職すれば、弁護士としての幅広い経験を積むことができます。倒産・事業再生や知財関連業務など、先進的な企業法務に携わることもできるでしょう。
・渉外事務所
渉外事務所とは、国際業務を主に取り扱う法律事務所です。近年はグローバル化により、海外展開する国内大手企業や外資系企業など海外進出を図るクライアントが増加しており、渉外事務所ではそれに付随して発生する現地企業との契約関連業務や現地事情のリサーチ、訴訟問題などに対応しています。
法律事務所の職員の仕事とは
①法律事務
弁護士の監督の元で書面の草案を作成したり、各種調査や資料の取得、依頼者との電話連絡や相談受付などをおこないます。
必要な書類の準備を依頼者にお願いしたり、陳述書をまとめたりなどし、実際に裁判所に提出する申立書や必要書類を準備します。また、裁判になっている民事事件では、裁判所に提出する書証を作成したりもします。
刑事事件では、検察庁に行って公判に提出される記録を書き写します。
主に弁護士が行う業務を補佐するのが法律事務職員の仕事であり、弁護士に代わって相手方と直接交渉したりすることはなく、また最終的な確認も弁護士が行います。
なおパラリーガルと呼ばれ、より専門的な内容の業務を行う法律事務員もいます。
②弁護士秘書
弁護士秘書業務は、主に弁護士のスケジュール管理をすることが多いです。
弁護士の予定は、裁判や法律相談、依頼者との打ち合わせ、各種会議の出席、弁護士会の事務作業、セミナー講師など多岐に渡ることも多いことから、弁護士秘書によるスケジュール管理が重要となります。
③法律事務所の職員の資格
法律事務所で事務職員として働くには、特別な資格や法律知識が不要なことが一般的です。また法学部卒である必要もなく他業種から転職する人も多くいます。
基本的にはワードやエクセルなどのパソコンの基礎的な知識があれば十分です。中には社会保険労務士など法律資格とは別の専門資格により法律事務に生かす人もいます。また対応した資格として日弁連で開催されている「事務職員能力認定試験」などがあります。
まとめ
法律事務所にはここで述べてきたようにその専門性や扱う案件により様々な種類があります。
どの法律事務所で働くかは、希望する将来のキャリアや磨きたい専門性とも照らし合わせて慎重に検討することが必要です。また弁護士法でも述べられている弁護士の使命は基本的人権の擁護と社会正義の実現であり、弁護士を補佐する事務員の法律事務の仕事もこれらの使命を持ったやりがいがある仕事と言えるでしょう。
無料転職登録
すぐにご転職をお考えの方から、まだ転職するか決めかねている方まで、お気軽にご相談ください。
REXがあなたの転職をサポートします。
求人検索
弁理士・特許技術者専門だから、資格や経験を生かして活躍できる求人が豊富です。
特許事務所・企業知財部などの求人検索はこちらから。