―これまでに中途採用した人の中から、活躍されている所員のエピソードがあれば教えてください。
平澤 REXさんからのご紹介で入所したTさんは非常に活躍してくれてますね。彼は体が大きくて頼りがいがある。いい意味で態度は大きいですが、驕ることはない。彼は常に「まだまだ勉強中です」という謙虚なスタンスを崩しません。
Tさんには、事務所の中でも非常に力のある者の下で働いてもらってます。今ではブラザーみたいに、お客様を訪問するときも一緒に行動してますよ。
最近はお客様へ提案することもできるようになったようですね。先輩の背中をみて真似することで成長してくれてます。
―T氏の採用を決定したポイントは何かありますか。
平澤 先ほどの話とも重なりますが、やはり謙虚さと元気さのバランスを持ち合わせているところですね。もちろん、基本的な実務能力もあった上での話ですが、一緒に働きたいと思える人物だったということです。
先輩から厳しい指摘があっても、落ち込むことなく前向きに努力を続けていて、みるみる力を付けている様子が伝わってきます。
―弊社からご紹介した方が活躍してくださって私も嬉しいです。
平澤 他の部門から「Tさんをこっちにも回してくれませんか」と言われるほど、彼は本当に頑張ってますよ。
関根 先輩との人間関係もうまくいっているようですしね。
―ところで、所員の働き方や人事制度に特徴はありますか。
平澤 人事に関しては、適材適所を心がけています。たとえば「この所員はどのクライアントに合うだろう」と考えます。クライアントの担当者の中には、よくしゃべる人を苦手にしている人もいますし、逆に好意的な人も。うちの所員には両方のタイプがいますので、どのクライアントにも対応できるようにしてます。
―もし途中で「この所員はこのクライアントに合わない」と思ったら、担当を変えることもあるんでしょうか。
平澤 もちろんです。
関根 そうやって所員は、自分に合った複数のクライアントを担当することになります。メインの会社を持ちつつ、他も担当するんです。
―自分に合ったクライアントを担当しつつ、他にもいろいろな経験を積めるんですね。
平澤 そうですね。1つのクライアントが合わなくても、他のクライアントとうまく仕事ができればいいんです。実力はあるけど、クライアントと相性が合わないということは結構あります。
関根 中には「このクライアントだけ担当したい」という所員もいます。そうした働き方も認めています。
―給与制度に特徴はありますか。
平澤 昇給は毎年4月に行います。ここ30年、横ばいの時はあっても下がったことはありません。基本的に昇給します。
―所員を評価する基準は何でしょうか。点数加点などの評価制度を採用していますか。
平澤 点数評価はしていません。その代わり、特許業務法人の社員6人で行う運営会議で所員を評価しています。どの所員がどれくらいの件数を担当しているのか、一覧表を作って共有しています。当然、たくさんの件数を担当している人は、それだけ稼いでいると判断できます。各所員の1カ月の売上も計算しています。
―所員は売上金額で評価されるのでしょうか
平澤 必ずしもそうではありません。営業の人は売上で給料が決められてもいいのでしょうが、私どもの業界は違います。各クライアントによって、単価が違いますから、多数のクライアントを抱えている所員の売上の方がクライアント数の少ない所員の売上よりも低くなることがあります。クライアントの単価が低いのは所員の責任ではありません。ですから、単純に売上金額で評価することはありません。
―事務所ではどのように所員を教育していますか。
平澤 所員にはOJTで成長してもらっています。先日入社した所員には、事務所の中でも非常に能力のある先輩所員のもとで仕事をしてもらっています。クライアントを訪問するときも同行し打ち合わせに参加するというスタイルで、今では自らさまざまな提案をしてくれるようになりました。先輩社員の背中を見て成長してくれています。
関根 事務所には周囲の人に何でも聞ける雰囲気があるので、事務所全体で成長を手助けできます。最近は新しい試みにも挑戦しています。各所員が自らの今期目標を設定し、部長と共有するというものです。部長は、その目標が達成できるよう日々の業務分担に配慮します。数カ月後にその目標が達成されたかどうかを確認することで成長を促せると期待しています。
―最後に、御社の今後の展望を教えてください。
平澤 これからは国内の出願件数が減り、その代わりに外国出願件数が増えると思います。今の大きな市場は中国であり海外です。外国出願に強い事務所にならないといけないと考えています。それから他社対策にも、今後は力を入れていきたいと思っています。あとは、海外から国内に入ってくる際の出願ですね。特に中国の企業が本気になって日本に攻勢をかけてきたら、恐ろしいことになる可能性があります。我われのような国内の事務所がどう対応するのかについては、向こう10年の課題になりそうです。
【話し手】
■弁理士 所長 平澤 賢一
<学歴>
昭和59年(1984年)千葉大学工学部合成化学科卒
昭和61年(1986年)千葉大学大学院工学部工業化学科修士課程修了
<職歴>
昭和61年(1986年)出光興産株式会社、中央研究所
平成11年(1999年)弁理士試験合格
平成13年(2001年)大谷特許事務所入所・弁理士登録(登録番号:11966)
平成28年(2016年)大谷特許事務所 所長就任
■弁理士 関根 由布
<学歴>
平成7年(1995年)国際基督教大学教養学部卒業
平成9年(1997年)京都大学大学院人間環境学研究科前期博士課程終了
<職歴>
平成18年(2006年)弁理士試験合格/名嶋・綿貫・山本特許事務所(名古屋)入所
平成19年(2007年)弁理士登録(登録番号15446)
平成22年(2010年)特定侵害訴訟代理付記登録
平成27年(2015年)大谷特許事務所入所
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