―とこしえ特許業務法人の強みや特長、魅力はどんなところですか?
杉本 第1に、「一気通貫」システムにより、自らが作成した明細書による特許出願について国内外における権利化の業務を全て経験できる点が挙げられます。分業制では味わえないやりがいがあり、代理人として仕事をする楽しみを存分に感じることができます。
中間処理時に、発明者の出願時の真意(発明のポイント)を反映させることができるので、依頼人のメリットにも繋がります。
対応外国出願についても、ファミリ全体をモニタリングすることができるので、特殊出願(継続出願、分割出願、意匠出願への変更出願等)を含めた戦略的な提案を各案件で経験できるのは大きな魅力です。
第2に、当事務所は異なる産業分野に属する複数の企業様から御依頼いただいているので、幅広い技術分野について経験を積むことができます。このことは、受任件数の安定にも繋がり、景気に左右されずに継続的に成長することができました。
第3に、パートナー(経営者)になれる可能性が高いことも魅力の一つです。自らが組織を作り上げ、舵をとり、理想の特許事務所を作り上げることができる喜びを味わうことができます。神谷弁理士は34歳の若さでパートナーに昇格しています。
―ここ数年、安定した成長をしていますが、事務所として変わってきた点はありますか?
杉本 依頼人の要求のレベルが高くなっているように感じます。頂いた資料を纏めるというレベルでは満足していただけませんから、常に付加価値をつけることを考えております。明細書や意見書などのアウトプットを見る目も厳しくなっているように感じます。
国内出願だけというご依頼は減りました。国内出願だけではなく、PCT出願、外国出願なども御依頼もいただくことが通常です。外国での権利化を視野に入れた国内出願という観点も要求されていることを実感しております。
―どのような人物・スキルを持った人材を採用したいとお考えでしょうか?
杉本 「一気通貫」などの当事務所の魅力を、魅力として感じられる方であると嬉しいです。
人物としては、代理人として欠かせない素質である「誠実さ」を備えた方に来ていただきたいです。依頼人に対する誠実さ、仕事に対する誠実さ、仲間に対する誠実さを持った方と共に働きたいと考えています。代理人としての誠実さは、自己の最善を依頼人に提供するという真摯な気持ちに由来するものですから、「誠実な方」というのは、常に、自らの中に原因と改善を追求する「内省ができる方」とも言えます。そして、自己の最善をさらに高く押し上げる自己研鑽に努める方であってほしいと考えています。
また、当事務所は、知識を共有し、知恵を出し合い、全員で事務所全体を盛り上げていくことをモットーとしておりますので、チームプレイを楽しめる方を歓迎します。欲を言えば、パートナーを目指す方には、事務所の永続性にエネルギーを投じる、「公の心」を持つ方であって欲しいと願っております。
―最近ご入所された方のご活躍について教えてください。
杉本 特許事務所未経験で当事務所に入所して5年目の弁理士がいます。彼は、もともとは大手の印刷会社で開発業務に従事していました。入所後すぐに弁理士資格を取得し、現在は、国内案件だけではなく外国案件も担当しています。クライアントからの信頼も厚く、事務所内の情報整備などにも積極的に尽力してくれます今年は2週間ほどヨーロッパの研修にも行く予定です。
当事務所は、全員が事務所の運営に携わるパートナーであることが理想だという考えを持っております。入所される方には「自分が育てる事務所」という視点で業務に取り組み、活躍していただきたいです。
―現在、転職を検討している方の中では、企業知財部を希望している方も多くいらっしゃいますが、特許事務所で働く魅力はどんなところにあるとお考えでしょうか?
神谷 私は企業と特許事務所の経験が半々くらいありますので経験をもとにお話させていただきます。
まず、特許事務所にいると、知財実務をやり続けられることに魅力を感じます。ここで言う、知財実務とは、明細書作成や中間処理業務等、主に特許権を取得するための業務を指します。
企業での知財業務は、発明者だけでなく他の部署との関係も調整しながら、仕事を進める必要があるため、企業の知財担当者は、知財実務以外の業務にも多くの時間を費やしております。
また、経験年数や昇格等により、組織での自分の位置付けが高くなり、組織をマネジメントするような立場になりますと、知財実務をする時間が限られてしまいます。このように、知財業務に携わりたいと考えたとしても、企業では、組織における自分の立場や職種によって、知財実務に携わることができないこともあります。
一方、特許事務所では、知財実務が本業であり、実務に力を注ぐことが事務所の売り上げに直結します。そのため、マネジメントをする立場になったとしても、実務をし続けることができます。そのため、知財実務が好きで、いわゆる職人のように働きたいという人は、事務所の方が活躍の場が約束されるかもしれません。
また、企業の場合は扱う分野もその会社が扱っている製品に限られますが、特許事務所が多くの会社をクライアントとしている場合には、1つの技術分野に限らず、様々な製品の特許実務に携わることができるのも楽しさの一つです。
特許事務所であれば、弁理士であることの必要性、代理人であることを意識することができ、仕事をする上でも弁理士資格を活かすことができますが、企業の知財業務では必ずしも弁理士である必要はなく、弁理士を実感する機会が少ないかもしれません。もちろん、特許法などの法律の知識を深めるために、弁理士試験を目指すことは、企業であるか特許事務所であるかは関係ありませんので、企業に所属されながら弁理士になることは有意義であると思います。
安定性を求めて企業に転職する人は多いと思いますが、企業でどのような仕事をしたいのか明確にせず、安定性のみを求めて企業に転職することには、疑問を感じます。 企業は、知財部の業績ではなく会社全体の業績に左右されます。昨今、新聞等で、大きな会社が不祥事等により業績を悪くするようなことが報道されています。そして、企業の業績悪化の原因は、製品の売れ行きや、不祥事など、知財の業務とは直接関係のないところで発生します。そのため、企業では、自分のがんばりが会社の業績につながりにくい、という側面があるかもしれません。また、業績悪化により、知財部の組織自体が縮小化したり、子会社化したりすることも考えられます。 一方で、特許事務所の場合は、自分のがんばりが事務所の業績に直結するため、自分が頑張ることで依頼人の信頼を得ることができ、事務所の成長にもつながると思います。
また、これは私の性格上の問題かもしれませんが、企業に所属していたと比べて、事務所で働いている方が仕事に対するモチベーションが高くなっているような気がします。 私が、企業で知財担当者として仕事をしていたときには、知財実務以外に多くの業務を行うため、自分が誰のために何のために仕事をしているのか迷うことが多少ありました。 特許事務所の仕事は、明細書を作成したり、依頼人からの相談に答えるなど、業務内容が明確であり、依頼人から直接依頼を受けるので、誰のために仕事をしているのかが分かりやすいと思います。このことは、私が仕事のモチベーションを高める一つの要因になっているかもしれません。
とはいえ、企業の知財部でなければ経験できない業務もあります。例えば、ライセンス業務等、特許事務所では経験できない業務が企業にはあります。私自身、企業の知財担当者として働くことで、大変貴重な経験をさせてもらいました。そして、企業での知財経験は、お客様の立場を理解する上で、いまでも大変役に立っております。 企業と特許事務所との間で、仕事や組織の違いを理解して、自分に合うところを見つけることは大切だと思います。
―今後の事務所の展望について教えてください。
杉本 当事務所は、創設当時から、社是の下に、老いない事務所、辞めない事務所、立ち止まらない事務所の実現に向けて邁進してまいりました。
「老いない事務所」:パートナー昇進の途を用意し、世代交代が常に意識された事務所。
「辞めない事務所」:メンバーの希望、やってみたいこと、積極的な提案に耳を傾け、それが実現できるように全力でサポートする事務所。
「立ち止まらない事務所」:互いに自己研鑽に励み、知識・経験を共有してともに成長することができる事務所。
一世代だけ勢いに乗ることは比較的簡単ですが、事務所が「とこしえ」に繁栄しつづけるようにすることは、一言で言えるほど簡単なことではありません。
創設当時の目標やポリシーは変わっていませんが、受任案件数やメンバー数が年々増加していること、信頼に伴う要求レベルが益々高まっているという状況においては、目標へのアプローチも進化させていかなければなりません。知財を取り巻く変化を先読みし、失敗や変化を恐れずに、常に挑戦者でありたいと考えています。
事務所を支えるのは人です。事務所の良さを伝えるのも人です。人の成長があってこそ事務所の成長があると考えておりますので、成長に時間がかかることは覚悟しています。 私としては、人も、事務所も、大樹のように、着実に成長しつづけることが揺るぐことのない真の「強さ」に繋がると信じております。奇を衒わず(てらわず)、地に足をつけて一歩一歩前進していく足腰の強い事務所でありたいと考えております。
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【話し手】
■弁理士 代表パートナー 杉本 俊一郎
<学 歴>
平成 7年(1995年) 早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業
平成 9年(1997年) 早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻経営システム工学分野修了
<職 歴>
平成 9年(1997年) トステム㈱に入社.生産技術・生産準備に従事
平成13年(2001年) 前田・西出国際特許事務所入所
平成16年(2004年) 弁理士試験合格・弁理士登録(登録番号13539)
平成18年(2006年) とこしえ特許業務法人設立
平成21年(2009年) 特定侵害訴訟代理付記登録
■弁理士 パートナー 神谷 健太郎
<学 歴>
平成12年(2000年) 立命館大学理工学部光工学科卒業
平成14年(2002年) 大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻電子光科学分野修了
<職 歴>
平成14年(2002年) パナソニック株式会社(旧松下電器)入社 知的財産権業務に従事
平成14年(2002年) 弁理士試験合格・弁理士登録(登録番号12628)
平成21年(2009年) とこしえ特許業務法人入社
平成22年(2010年) 特定侵害訴訟代理付記登録
平成24年(2012年) パートナ就任
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