【前編】少数精鋭!とこしえ特許業務法人の働き方と魅力

業界人に聞く!弁理士業界あれこれ

少数精鋭で一気通貫システムが魅力のとこしえ特許業務法人。インタビュー前半の今回は、パートナー弁理士の経歴やとこしえ特許業務法人の成り立ちについて伺った。(インタビュアー REX深田)

―杉本先生のご経歴を教えてください。

杉本 早稲田大学を卒業後、早稲田大学大学院を修了しました。専門は、いずれも経営システム工学です。その後、トステム株式会社、今のリクシルに入社し、生産技術や生産準備、具体的には、新商品の生産ラインのライン設計に4年ほど従事しました。
 その後、10名規模の都内特許事務所に入所し、その事務所で仕事を覚えながら受験勉強を4年ほどしました。2004年に弁理士試験に合格し、弁理士登録をしました。
 そして、2006年に、とこしえ特許業務法人を設立し、4年目の2009年に私が37歳のときに代表となりました。

―杉本先生が弁理士を目指そうと思ったのはなぜですか?

杉本 弁理士を目指す決心をするずっと前から「創作」、「創造」、「思考」、「思想」、「クリエイティブ」、「アイディア」といった、人間の創作行為にとても興味があったことは理由の一つです。「発明」はとても純粋です。もう一つは、「読む」ことと「考える」ことが好きで、「書く」ことが得意だったからです。

 企業での仕事が調整役のような立ち位置だったため、手に職をつけたいという思いと技術系の仕事をしたいという思いで、弁理士を目指そうと思いました。もともと弁理士という仕事を知っていたわけではなく、技術系の仕事についていろいろと調べているうちに知りました。

―神谷先生のご経歴を教えてください。

神谷 私は2000年に立命館大学の理工学部光工学科を卒業し、2002年に大阪大学大学院基礎工学研究科を卒業しました。大学時代及び大学院時代は、レーザを用いた通信に関する研究を行っていました。

 私は大学院在学中弁理士試験の勉強をしており、会社に入って知財の仕事がしたいと考えておりました。そして、パナソニック株式会社に入社しました。パナソニック株式会社は、電気系の知財部門のリーディングカンパニーであり、様々な知財の経験をすることができました。また、弁理士試験は、入社した年に合格することができました。
そして、2009年にとこしえ特許法人に入所し、2012年に34歳のときにパートナーに就任しました。特許事務所への転職は、「知財実務を続けていたい」というのが一番の理由です。とこしえ特許業務法人への転職のきっかけは、杉本弁理士に出会ったことです。

―神谷先生が弁理士という仕事を知り、目指したきっかけは何ですか?

神谷 大学時代に弁理士という試験を知り、目指そうとしましたが合格率の低さに驚き、その当時は断念しました。大学院に進み、試しに弁理士試験の講座を体験で受けてみたところ、授業が大変楽しく、法律の勉強をしたいと考え、試験に挑戦することにしました。

  就職する際には、試験に合格していなかったため、研究者・開発者になるか、弁理士になるか悩みましたが、弁理士になることに決めました。理由は、手に職をつけたかったからです。開発部門で研究することにも大変魅力を感じましたが、自分の研究者としての将来を考えたときに、会社組織でずっと研究開発をやり続けることがイメージできず、自分の将来を会社にゆだねることに疑問を感じました。そこで、社外でも通用できるための一つの手段として、弁理士を目指しました。

―実際に弁理士として働いてみて、どのようなところにやりがいを感じますか?

杉本 明細書を作っている際にイメージ通りにクレームを表現できたとき、中間対応時の進歩性肯定ロジックや無効検討時の進歩性否定ロジックを閃いたとき等です。
 また、明細書等に対して、クライアントのご担当者様から「杉本さんに頼んでよかった」とか「期待以上の出来です」とお褒めのお言葉をいただいたとき、それも、一回だけではなく、同じご担当者様から継続的にご評価いただけるときは非常にやりがいを感じます。

神谷 前の会社ではお客様と接することが少なったのですが、特許事務所に入所してからはお客様と接する機会が多くなり、仕事を続けるにつれて徐々に信頼関係が構築されていくことを感じることができます。クライアント(依頼人)から頼りにされたり、相談されたり、感謝されたりすることにもやりがいを感じます。


―とこしえ特許業務法人の成り立ちや概要を教えてください。

杉本 とこしえ特許業務法人は2006年4月に設立しました。このときの代表は、西出弁理士です。特許権等の産業財産権は存続期間が長く、しかもクライアントのほとんどが法人です。一方、個人経営の特許事務所は、所長弁理士という個人に強く依存し、一代限りで終わってしまうことが少なくありません。そこで、特許事務所の業務形態として、当時あまり主流ではありませんでしたが、末永く事務所を維持し得る「永続性」を確保できる「特許業務法人」という形態を選択しました。
 法人名の「とこしえ」は、この永続性に由来します。

 弊社の設立から掲げているポリシーとして、「永続性」の他に、「依頼人の利益優先」、「自己研鑽」、「社会貢献」があります。具体的には、「良い仕事をしてクライアントに満足していただいた後に報酬を頂戴できる」ことを法人の基本的な考え方としており、これが「依頼人の利益優先」です。
 また、少数精鋭の事務所を半永久的に継続させるためには、個々人の人間性や専門性を常に意識的に高める必要があります。これが「自己研鑽」です。
 そして、弁理士という公的な資格に基づいて業務をさせていただいていることへの社会への恩返しが必要と考え、それが「社会貢献」です。

 当初は4名の弁理士からスタートして、11年目の現在、弁理士が7名、そのうちの5名がパートナーです。また、技術スタッフが1名、事務スタッフが4名おります。総勢で12名の比較的小規模な事務所です。
 因みに、私の前職の特許事務所の所長が、西出弁理士でした。現在のパートナーの佐藤と圓尾もその特許事務所に勤務しておりました。
 西出弁理士との出会いは、西出弁理士が某弁理士受験予備校で講師を務めており、私がその受講生だった関係で、最終講義の後の慰労会に誘われたことがきっかけです。
 佐藤弁理士は設立メンバーであり、圓尾弁理士は設立1年目、彼が32歳のときにパートナーとして参加しました。
 神谷弁理士とは、私が2007年に米国の法律事務所の研修に行った先で知り合い、研修後にたまたまスミソニアン博物館で出会って意気投合したのが縁です。その後、彼は、2008年に入社し、3年後の34歳の若さで2011年にパートナーに昇格しました。

 当所では仕事を行う環境はできる限り良くしたいと考えており、一人当たりの業務スペースをかなり広くし、書類は全て電子化し、デュアルモニタを標準としております。また、次世代型の特許事務所を目指しており、クラウドや仮想デスクトップといった新しい技術も積極的に導入するようにしています。

―事務所を経営する上で、苦労はありましたか?

杉本 ありがたいことに、2010年頃にクライアントからのご依頼が飛躍的に増え、多くの案件が同じ時期に集中することがありました。一方、当時は、弊社の人材育成の方針として、「未経験者を一から育てる」ことをポリシーとしていたため、仕事量が増えても人材を急に増やすことができずジレンマに陥りましたが、その時は全員で案件を分担してなんとか乗り越えました。一人の担当者が複数の技術分野や複数のクライアントを担当することを方針としていたことが功を奏しました。また、その時に、神谷弁理士が、品質を落とさず多くの案件をこなし、クライアントからも多大な信頼を獲得したため、3年という短期間でパートナーに昇格しました。
 クライアントからのご依頼がまだまだ増え続けておりますので、「未経験者を一から育てる」という方針も残しつつ、この度、「ご経験豊かな有資格者の方々にご活躍いただく」という方針も新たに加えました。

―とこしえ特許業務法人への依頼は、どのような案件が多いのでしょうか。

杉本 バイオ以外の分野はほとんど扱っています。主な業務内容は以下の通りです。

(A)国内特許出願
 国内特許出願がメインです。弁理士の本来業務である、国内特許出願の代理業務を重要視し、当事務所のコアコンピタンス(業界他社を上回るレベルの能力)として位置付けています。国内特許出願を任せていただけるからこそ、中間案件、外国出願案件の仕事を受任できると考えております。国内特許出願の経験を蓄積することで足腰の強い事務所になると信じています。
 また、単発で特許出願の仕事をするだけではなく、開発・研究グループとの発掘会(セッションにより、権利化の方針を決定する)の依頼も多く、積極的に取り組んでいます。

(B)中間処理業務・外国出願業務
 国内特許出願の拒絶理由に対応する中間処理業務、国内特許出願を基礎とした外国出願業務も多いです。
 当事務所では、国内特許出願の担当者が国内中間処理業務、及び外国出願業務を行う、いわゆる「一気通貫」システムを採用しています。

(C)鑑定などの係争に関する相談
 数が増えているというわけではありませんが、色々なご相談をいただいております。

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【話し手】

■弁理士 代表パートナー 杉本 俊一郎
弁理士 代表パートナー 杉本 俊一郎

<学 歴>
平成 7年(1995年) 早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業
平成 9年(1997年) 早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻経営システム工学分野修了
<職 歴>
平成 9年(1997年) トステム㈱に入社.生産技術・生産準備に従事
平成13年(2001年) 前田・西出国際特許事務所入所
平成16年(2004年) 弁理士試験合格・弁理士登録(登録番号13539)
平成18年(2006年) とこしえ特許業務法人設立
平成21年(2009年) 特定侵害訴訟代理付記登録



■弁理士 パートナー 神谷 健太郎
弁理士 パートナー 神谷 健太郎

学 歴
平成12年(2000年) 立命館大学理工学部光工学科卒業
平成14年(2002年) 大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻電子光科学分野修了
職 歴
平成14年(2002年) パナソニック株式会社(旧松下電器)入社  知的財産権業務に従事
平成14年(2002年) 弁理士試験合格・弁理士登録(登録番号12628)
平成21年(2009年) とこしえ特許業務法人入社
平成22年(2010年) 特定侵害訴訟代理付記登録
平成24年(2012年) パートナ就任

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