―飯島国際商標特許事務所では、人材採用についてはどのようにお考えでしょうか。
飯島 私の持論ですが、有資格者でも、実務経験者である必要はないと思っています。仕事はやり方や考え方を教えればいいわけですから、やる気のある方を採用したいですね。進んで勉強する気がないとダメですね。
藤森 仕事量も多いし、人と会って話す機会も多いですから、人物は大事ですね。
飯島 明るさと人柄とやる気。それが一番重要ですよ。クライアントと話をして仕事を決めてくるわけですから、お客様が信頼してくれることが重要です。それが次に繋がっていきます。実務はやっているうちに覚えるものです。藤森弁理士は大学卒業後に入所し、びっくりするくらい実力が上がっており、相当の仕事量をこなしています。またクライアントの信頼も厚いです。伊藤弁理士も、入所して僅か2年ですが、訴状関連の書面も十分書けるようになりましたし、語学力も申し分ありません。
伊藤 それは仕事量があるからでしょうね。他ではきっとあまり経験できない訴訟の案件も多いですし、その前の警告の案件も豊富にあります。忙しいから敬遠されるかもしれませんが、案件が多いというのは大きな魅力です。
―人柄重視で選考を進め、最終的に採用を決めるポイントというのはありますか?
飯島 最後は勘ですね。1時間や2時間の面接で全てがわかるわけではありませんから、会って話してみて、好感を持てるかどうかとか、そういった感覚の部分で判断します。選考の過程でちょっとした試験もやりますが、それだけでは実力のほども測れませんから、受け答えの内容や、頭の回転のよさを見るようにしています。
―事務所のメンバーとの相性は考えますか?
飯島 それはありますね。やはり相性は重要です。我々3人以外は全員女性で、長期で働いてくれているメンバーがほとんどですから、一緒に働くメンバーを好きになり、好かれるような人物であることは大切ですね。
―長期勤続の方が多いというのは素晴らしいですね。
藤森 長期で活躍しているメンバーは、経験も豊かだし仕事も丁寧ですよね。証拠一つ作るのに、何百号証あったとしても、それをきちんと効率的に作れるのは大事です。やはり経験ですね。
飯島 事務処理能力は重要です。特に文章力は絶対必要です。我々は文章を書くことに始まって文章を書くことに終わるくらいですから、文章力がないと辛いと思います。技術系の弁理士も同じですが、我々は一日中仕事として文章を書いています。だから採用の際も本来は文章力を見るべきだと思いますが、そこまで試験はできないし、難しいところですね。
―2年前にご入所された伊藤先生の最近のご活躍について教えてください。
伊藤 外国の仕事は全体的に見させてもらっていますし、裁判事件もあります。最近は、外国の依頼人が日本でトラブルになるケースのご相談が多い印象です。日本のルールがわからないからと依頼を受け、外国の方と直接やりとりしています。代理人の方もよく弊所にいらっしゃいます。
飯島 伊藤が入って2年、単に外国商標の事件だけではなくて、種苗法の登録の手続きをしたり、税関での輸入差し止めの仕事をしたり、日本の民事事件をやったり、審決取消訴訟をやったり、本当に幅広い経験を積んでいます。彼はこの2年間のうちに、あらゆる法律に携わるような事件を手掛けています。
伊藤 必要に応じて判例を見たり審決を見たり、多くのチャンスをいただけるのは嬉しいですね。人数が少ないのでみんなで分担をして、それぞれが重要な仕事を任されています。「これだけやっておけ」というような作業はありません。
藤森 うちは1つの案件に対して、3人で相談しながらやっています。それぞれが勝手に進めるということはなく、事務所としてどういう見解でいくのかを決めて進めるので、かなり密に議論していますね。そして、お互いに自分のもっている知識や情報を考えるようにしています。
飯島 常に3人で1つの事件について密に検討して、事務所としての方針を出すことが多いのでお互いに無関心ということはないですね。違う意見や考えが出ても、どれが一番いいか、どうするかを最終的に協議して判断しています。以前私が在籍していた大手事務所では、一人で全て判断をしていましたから、個人事業主の集まりみたいなものでした。それぞれの考えを出し合い、融合し、いいものをつくっていくというのは、面白みがありますよ。
―伊藤先生は役所にいらしたと聞きましたが、どうして特許事務所を選択されたのでしょうか。
伊藤 事務所で弁理士をしているといろいろな業界に関わることができ、いろいろな会社を見ることができます。新しい技術や商品、サービスに触れる機会が多いですから、それぞれの業界の最前線にいるという意識はありますね。企業内弁理士というのも選択肢としてはあったと思いますが、あまり魅力を感じませんでした。資格を取った以上は事務所でやるものだという意識もありましたね。企業の知財部に行く人が増えているという話は聞いていましたが、そういう人もいるんだなと思っていた程度です。
藤森 私が資格を取った十年前は、資格取得をした人はだいたい事務所に行きました。企業内で資格を全て活かせるかというと、そういうわけではないですもんね。
―最近では、安定した就業イメージから企業知財部への転職を希望する方が多く、事務所で働く魅力がうまく伝わっていないと感じています。それについてはどう思われますか?
飯島 非常に難しいですね。今の世の中、有資格者に対して難しい時代になっています。今まで我々資格者は法律で守られていたので、弁理士会の料金体系でできていました。しかし公正取引委員会が入って料金体系が自由になり、事務所間の競争が激しくなり、業界自体が変わってしまいましたよね。これからますますそうなる傾向にあると思いますし、収入や将来性を考えた場合、事務所の仕事は魅力的とは言えなくなってしまったのかもしれません。サラリーマンになった方が楽なのではないか、福利厚生も充実しているのではないかと期待してしまうのは当然かもしれません。
そうした中で、事務所での就業を希望する人というのは、資格を取ったということに対して真面目で、真摯で、実力をつけたい、もっと上げたいという人だと思うんですよね。そうじゃない人は結局、魅力的に見える方へ流れていく。必然的にそういう人は特許事務所にはそぐわないということなのだと思います。
藤森 事務所でやる魅力は、経験がどんどん蓄積されていくことですね。経験で得たものはなくならないですし、蓄積されたものをまた仕事に活かしていけるというのは大きな意味があります。企業のように部署が変更されるわけでもなく、ずっと弁理士業でやっていくというわけですから、蓄積された経験をずっと活かしていけるのは事務所ならではだと思います。
―たくさんの転職希望の方とお話をしていると、資格を取ることがゴールだと思っている人も多くいらっしゃいます。試験が難しいので、今まで苦労した分、楽をして収入を得たい。資格とったらどうにでもなるだろうとお考えの方は少なくありません。確かに弁理士資格を取得されるような方は優秀なので、企業に入ってもそれなりのお給料はもらえるケースがほとんどです。でも、こうして事務所に勤めてプロフェッショナルの先生たちと一緒に仕事をし、一人の弁理士としてやっていくというのは、資格を取得してからも努力が必要ですよね。資格者としての仕事のやりがいや楽しさを享受できますし、弁理士業は現役で続けていけることを考えれば、生涯年収にも大きな差はでてきますよね。
飯島 そうですね。それだけやりがいもあるし、自分に跳ね返ってくる仕事です。
我々は有資格者としてプライドを持たないといけません。プライドを持たないと、何のために一生懸命頑張って試験に受かったかわかりませんよね。我々弁理士には、弁理士にしかできない仕事がありますから、専門家としてプライドを持って仕事をし、それに見合うだけの報酬を受けてしかるべきだと思います。クライアントに対してはいい仕事、最高の頭脳を提供し、価格競争にさらされない付加価値を考えることも必要な時代になっていますよね。
―今後入所される方に伝えたいことはありますか。
飯島 出願だけではなく、もっといろいろな経験ができるのでぜひ積極的に取り組んでいただきたいですね。その分勉強しなくてはいけないことも多く勉強範囲も広いですが、その分自分に返ってきますから、やりがいは大きいですよ。
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