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【後編】旺知国際特許事務所 大林代表に聞く
特許事務所で働く魅力

業界人に聞く!弁理士業界あれこれ

事務所の規模拡大に向け体制強化に着手している旺知国際特許事務所。今後事務所が向かう先と今後の弁理士の働き方、業界全体の展望について聞いた。(インタビュアー REX深田)

―現在事務所の体制強化に着手していらっしゃるとのことですが、どのような変更をお考えなのでしょうか。

質の高いサービスが当所の強みでもあり、現在、弁理士に対して指名での仕事の依頼を数多くいただいています。これは各弁理士がクライアントから信頼されているということですから、とても有り難いことです。

しかし、現状の規模では、クライアントのニーズに即座に対応できない場合もあります。複数の所員がある案件について一緒に理解して議論できる、期限が差し迫った依頼にも、複数の所員が分担してクライアントを待たせない。そういう体制を目指しています。自由度を上げるためにも技術的に難易度の高い案件を複数の所員が対応できるところまで持っていきたいですね。

―具体的にはどのような方法をお考えなのでしょうか。

クライアントとの面接に、信頼を得ている所員(弁理士)に加えて新しい所員が同席します。また、既に信頼を得ている所員が、新しい所員の明細書をチェックします。これを繰り返していくうちに、新しい所員もクライアントの信頼を獲得していくことができ、面接のときに積極的に発言できるようになります。クライアントが期待している以上のことをアウトプットしないと信頼は得られません。それをチームとして精度を上げ、繰り返していくことが重要ですね。

また、同時に個人の能力を伸ばすことも考えなくてはいけません。例えば、明細書を書くのは得意だが話すのは苦手という人は多いですね。また、論理的で深い分析ができる人、あるいは、喋りながら考えることができる人もいます。個々人の得意な能力を伸ばして仕事をしてもらうことで、事務所全体として対応力が大きくなっていくのが理想的だと思っています。

―現在採用活動にも積極的に取り組んでいらっしゃいますが、どういった人材を採用したいとお考えでしょうか。

将来、クライアントの信頼を獲得できるようになる人を是非とも採用したいです。にこやかに、フランクに、相手から必要な情報を聞き出すコミュニケーション力は重要です。相手のことをよく理解していないと的確に情報を聞き出すのは難しいですし、質問するにもある程度の技術の理解がないとできません。ですから、技術の理解力も必要ですね。

クライアントへのアプローチの仕方は人それぞれで、その場で懸命に喋る人もいれば、ホワイトボードの前に立って書き出す人もいます。それも能力のうちですよね。喋るのが苦手だという人も、事前に緻密な準備をしてクライアントに資料を配って、丁寧な説明、丁寧なアプローチはできます。自分の得意なところで創意工夫してクライアントの信頼を得ていくというのはとても大切です。

良い明細書を書ける人は、コミュニケーション力が高く、技術に対する理解がとても深いです。技術を理解して文章を書く力、法律の知識、さらに外国語の能力は業務を通じてクライアントの信頼を獲得する要素になります。

―採用を決定される際のポイントはありますか?

基本的には文章力、技術理解力、法律の知識、外国語の能力、コミュニケーション力といった実務能力を見ています。悩んだときには、ベテランであれば6ヶ月~1年経過した時点で、クライアントのどの技術分野を任せているかを想像します。また、未経験者であれば、論理力を重視し、2年~3年経過した時点の成長を想像します。

―最近ご入所された方はどのような活躍をしていますか?

昨年末に、ベテランの技術者が入所しました。実務は緻密で丁寧。スムーズに業務に馴染んでくれ、既に戦力として活躍しています。クライアントとの面接では、特許請求の範囲の骨子を提案し、発明者や知財担当者と本質に切り込んだ議論をしています。前日に私と打ち合わせて各案件の議論すべき点を確認します。事前の準備に苦労しますが、特許請求の範囲の骨子が固まってしまえば、方針を固められるので、作成した明細書の内容が発明のポイントを大きく外すことはありません。面接の段階では、どこにポイントを置いて明細書を記載するか不明確であることがありますが、考えられた特許請求の範囲の骨子を提案することによって、発明者や知財担当者の理解が進みます。なるほどという骨子を出せれば、クライアントは喜んでくれますし、間違っていればその場で修正できるのでその後がとてもスムーズです。彼には国内案件だけでなく外国案件も担当してもらっています。非常に能力のある方に入所いただいて、私自身とても嬉しく思っています。

―現在転職を検討している人の中には、企業知財部を希望する方が多くいます。特許事務所で働く魅力はどんなところにあるとお考えでしょうか。

実務の最前線の仕事ができるのが特許事務所で働く魅力だと思います。確かに、企業知財部でも、明細書や意見書の起案が可能ですが、これらは、特許事務所にアウトソースする場合が多いのではないでしょうか。発明者の頭の中にある思考・アイディアを、ビジネスに結実させるように表現した明細書を起案できるのは、特許事務所の大きな魅力ですね。

また、企業知財部では通常ある技術分野を専任で担当しますが、特許事務所では様々の技術分野を経験できます。さらに、明細書の書き方もクライアントの意向に応じて柔軟に対応することが求められます。このように、特許事務所では様々な技術分野においてクライアントの要求に応えながら多様な仕事に取り組むことになります。また、最終的なアウトプットは特許庁への提出書類となることが多いので、個々の仕事に深くコミットできます。多様な仕事の各々に深くコミットすることによって、権利化に係る地力が養われます。権利化に係る地力は、特許事務所では勿論のこと、企業知財部における自社他社の権利の検討、無効理由の検討、ライセンス業務等の応用分野においても、深い思慮の下に良質な仕事を可能とするものです。

企業も特許事務所も長い目で見ると栄枯盛衰があります。そのような中で、最も安定しているのは組織に依存しない実務能力のある人だと思います。特許事務所では、実務の最前線で仕事をし、権利化に係る地力を身に付けることができます。その延長線上には組織に依存しない実務能力があります。特許事務所への転職をお考えの方は、是非、志を高くし、組織に依存しない実務能力の取得を目指していただきたいと思います。

―最近は自分のスキルに自信がない方が多いのではないかと感じています。だから、何とか環境を変えようとして、企業知財部への転職が逃げ場になってしまっているのではないかと思う部分もあります。

結局はどうやって人の役に立つか、その視点が大事だと思います。私自身は企業知財部から特許事務所に移り、補助者として明細書の作成に携わりました。最初は、クライアントに受け入れて貰いたいという一心でした。既にある明細書を読んで、真似をして、クライアントに喜んでいただくためにはどうすべきかを考えていました。もしかすると、私には才能がないのではないかと悩みました。その状態で、必死で先人の真似をし、指導者である弁理士に教えを請い、どういう文章が分かり易いかを私なりに考えました。やがて、良い文章の基準ができてきます。そうして書いたものが指導者やクライアントに評価されて、少しずつ自信になっていきました。私の場合は、研究開発に携わっていたので回路の技術に詳しく、発明者と深い議論をすることができました。信頼を得るために知識を十分に活用しましたね。面接が終わって帰りの特急電車の中で回路の矛盾に気づき、修正した回路を事務所からFAXをする、といったことを繰り返し、やがて信頼を得られるようになったのです。いかにクライアントの役に立てるか、それを真剣に考えて、何でもやってきました。

もし、どこか自分で楽をしようとしている部分があるならば、どこに行っても成功しないのではないでしょうか。自分の力を出し切ることを前提として、企業知財部で実現したいことは何か、特許事務所で実現したいことは何かを真剣に考えるべきだと思います。

―今後の弁理士業界についてどうお考えですか?

日本国内の特許出願件数は確実に減っていくと思っています。市場は日本から世界に移っているからです。国内の売り上げに比べて、アジア市場の売り上げが大きくなっている企業が数多くあります。知財分野においてはアジアへの投資を増加させ日本への投資を減少させる傾向にあります。つまり市場規模に合わせた予算配分、ポートフォリオを組もうとしているわけです。

とは言え、開発の拠点は日本にある場合が多いので、国内の特許出願を海外で権利化できる特許事務所が求められます。日本仕様と海外仕様の明細書は少し違うので、その部分を考えたものが作れるかというのは重要です。

当所でもこれに向けた取り組みを進めています。海外で出願するためには各国の法制を理解する必要があるので、2週間に1回技術勉強会を開いて、各国の審査基準や判例の研究をしています。グローバルな明細書については色々なところで議論されていますが、当所の基準を創り上げたいと考えています。このためには、個々の所員がグローバルな明細書について考える必要があります。もしこの明細書が中国に行った場合どうなるか、米国ではどういった書き方をする必要があるかなどを議論しながら勉強していきます。

国内の市場は縮小傾向にあります。これに伴う、特許事務所の淘汰は既に始まっています。 このように厳しい環境ですが、私は、品質を追求するサービスを提供することによって、国内出願及び外国出願の仕事は潤沢にあると考えています。

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